曇りのち雨の日は歩く好天気
Day 59:华县(huaxian)- 渭南(weinan)= 21.8km
昨晩から雨が降り出し、天気予報を見るとしばらく曇りと雨の日が続きそうだ。雨や曇りの日を、一般的には悪天気というが、僕にとってみれば歩く好天気だ。
八月に入り、中国の夏の暑さのピークは過ぎたかのように思う。日の出の時間も少し遅くなってきて、季節も夏から秋に向かって動きだしている。7月は、最高気温が40°を超えた日々を乗り越え歩いてきて、以前より忍耐力がついた。
不思議なことに、誰かに命令されて耐えるとの、自らが進んで選んで耐えるとのでは、前者はただとても辛いが、後者は己が耐え抜いた喜びを感じられる。
人生は、辛いことも苦しいことも含めて、生きることすべてを愛せるような生き方でありたい。
暑さから解放され、涼しいそよ風が吹く天気のあまりの心地よさに、朝から国道脇で気持ちよさそうに寝ている道路の掃除員。
今朝は9時に出発し、足の筋肉痛の痛みは残るものの、涼しい気温の中をお散歩気分で歩くことを堪能した。
まるで心臓が鼓動するように、時計の針が正確に一分一秒を刻むように、リズムカルに一歩一歩前に足を運んだ。
途中からiPhoneとイヤフォンを取りだし、Mr.Childrenの曲を聴きながら歩いた。今年はテクノロジーの恩恵を多いに受けているが、去年何も持たずに歩いていた時は、よく自分の声でお気に入りの歌を口ずさんだ。自然と頭の中に浮かんできたメロディを、口ずさんで見ると、それがいまの自分の感情を的確に表現した一曲だったりするからこれまた不思議だ。
天気の環境変化によって、歩いている最中に考えること、感じることも変わってくる。
トランクにそのまま草を積み込んだ車。
ただ積み込むだけでなく、これからテクノロジーと自然をどうライフスタイルの中に融合できるかはこれからの人類の課題でもある。
お昼休憩を一時間ほど挟んで、再び午後歩いていると、自転車に乗った旅人と出くわして立ち止まって少し話をした。そういえば、ここ数日いよいよ西安も間近に迫って、よく国道の途中で自転車の旅人に出会う。昨日も何度か後ろから急に「加油!(がんばれ!)」と激励が飛んできて、びっくりした。
また歩いていると、今度はバイクに乗った27歳の同年代が隣に止まって、「徒歩の旅人?!どこまで行くの?渭南?お金は取らないから乗ってきな!」とテンポよく乗せてもらえることになった。
おかげさまで、午後2時には渭南の街中で降ろしてもらえて、自分でさらに1時間ほど歩いて今晩の旅館を見つけた。
早めに到着できた分、足の筋肉をゆっくり休めて、残り二日間で西安まで一日30kmずつ歩く脚力を充電できた。
夜ご飯のデザートに、はじめて葡萄を買ってみたら、思いの外、葡萄が安くて美味しくてビックリした。このぷりっぷりの一房でたったの4元(約65円)。
西安まで、あと三日。
Total: 1065.5km
しうんより