shiunからの手紙

Live different.

同じ徒歩の旅人との出会い

Day 44:新绛(xinjiang)= 0km

 
昨日はニュースでも取り上げられるほど山西省では気温が上昇し、午後には最高気温がついに40°を越えるほどの猛暑がここ数日間続いている。
 
今日も最高気温が38°と高温で、明日から雨が降って一気に気温が下がる予報のため、今日は街に留まって猛暑から避難し、雨が降って涼しくなってから明日再び歩き出すことにした。
 
それに、昨日から宿泊してる旅館で旅つながりのご縁があった。またまた入った一軒目の旅館で、過去に二年半中国国内を徒歩で旅していた旅館宿主の息子と仲良くなった。ご縁とは本当に不思議なもので、街に数多く点在する旅館の中で、この旅館と彼に巡り会えた。
 
旅館に入ってから、バックパックを背負い真っ黒に焼けた僕を見て、すぐに徒歩の旅人だとバレた。それから、同じ徒歩の旅人同士すぐに打ち解け、彼の過去の徒歩の旅の経路と旅の写真を見せてもらった。同じ旅の歩み方を選んだ者同士で親近感も湧き、すぐに友達になった。
 
韩磊(ハンレイ)は自分より2歳年下で、大学を卒業してから2年半かけて中国国内をあちこち徒歩とヒッチハイクで周った旅好きの青年だ。学生時代の時から地理が好きで、広い世界に興味を抱き、彼を徒歩の旅へと駆り立てた。彼の目の中には、実際に見てきた広い世界が反映しているかのように、強く真っ直ぐないい目をしている。
 
昨晩は食事に誘ってくれて、火锅という現地の特色ある料理を囲みながら、ビールで乾杯し、いろいろと会話も弾んだ。
 
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火锅という料理は、他の地域ではしゃぶしゃぶのような料理を意味するが、このお店では特殊の容器の真ん中に石炭が入っていて、熱く温められたサイド一面に豚肉と下には野菜が敷きつめられて、スープをかけて熱しながら食べる(普段自分は肉を極力食さないようにしているが、せっかくなのでこの日は少なめに肉も頂いた)。
 
久々に食べた豚肉は、美味しいとも感じるが、久しぶりに食べてみると肉臭くて食べた後は胃が少し重く感じられた。
やはり基本的に菜食主義で自分は十分に満足できる。
 
 
もう一晩延泊することを決めて、今日のお昼にはハンレイの地元の友達の結婚して子供が生まれてから一ヶ月目をお祝いする集まりに誘ってもらい、同行することになった。
 
中国の結婚についての風習では、結婚のお祝いで集まり、次に子供が生まれたら集まり、子供が生まれてから一ヶ月目にまた集まるという風習があるそうで、まず新郎新婦の家にお邪魔して赤ちゃんを一目眺めた後、ホテルの宴会場に席を移して大勢で飲み食いをする。
人数はざっと見て平日にも関わらず子供からお年寄りまで100人ほど参加していて、同じテーブルに座った人の中には四川省からわざわざ出向いてきた人もいた。まるで結婚式並みの規模と人数で、日本で言う結婚式披露宴にドレスコードなしで参加するような感じだった。
 
平日にも関わらず、なぜこれほど多くの人が集まるのか聞いたところ、この街での仕事はそんなに忙しくなく、仕事場から抜けたいときにいつでも抜け出せる人が結構いるそうだ。
 
もう一つ不思議な点があって、それはこの宴会場には新婦と生まれたばかりの赤ちゃんは参加しないことだ。
元々子供が生まれてから一ヶ月目のお祝いのために皆集まっているはずなのに、肝心な宴会場には新婦と赤ん坊の姿はない。これも話を聞くと、ほんとは赤ちゃんを祝うより、皆が集まるための“ネタ”としての風習だということが判明した。
 
僕にとって、なかなか理解し難い中国の風習が他にもある。例えば、結婚するときに新郎が新婦の家に多額のお金を払う風習がある。結局、永遠の愛を誓うはずの結婚もお金なのかと失望してしまう。
日本でも人生一度の結婚式に多額の結婚費用をかける人が多いと思うが、うまく経済中心の現社会の構造の習わしになっていると思う。
結婚とは、ほんとはもっとシンプルで純粋なものであってもいいはずだ。
 
この風習のもう一つの矛盾点は、無駄な消費にある。中国の丸い円卓に所狭しと次々と並べられる料理の数々。これでもかと思っていると、昔はもっとすごい数の料理が円卓に並べられて、さらに何段にも積み重ねられるほど贅沢をしていたが、今の中国の首相があまりにも贅沢しすぎるのはよくないと言ったために、並べられる料理の数は減り、余った料理も持ち帰るようになったそうだ。
 
二年前、都内の有名な高級ホテルで一時期働いていたことがあったが、効率化と顧客の満足度のために、次々と捨てられていく食べ物を見るのがすごく辛く嫌だったのを思い出す。でも、その大規模なホテルのシステムを変えることなど自分には到底できず、ただそのシステムの中の一部として稼働している自分に疑問を感じながら働いていた。
それと同じように、いまの社会のシステムに多くの矛盾と疑問を抱いている。
ただ不満を言ってるだけでは何も変わらない。この現社会から逃げるように生活をしても、きっとどこかでまた繋がってしまう。
 
僕は自分の生き方にまだ満足することができない。
非効率的な徒歩の旅を通じて、最後に何を得るのかは分からない。
 
それでも、きっとこの一歩一歩がかけがえのない選択になることを信じて、僕はこれからも己の人生を歩み続けてゆく。
 
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もう一人の徒歩の旅人ハンレイと、現在進行形で徒歩の旅人の僕とのツーショット
 
Total: 789.8km
 
 
 
しうんより