shiunからの手紙

Live different.

満州事変記念日に反日感情が高ぶる中での歩行

Day 102:罗江(luojiang)- 德阳(deyang)= 26.4km

ここ数日あまりの脚の痒さに夜中にいちどは目が覚める。これが仮に夢でも嫌だが、寝ていても消えない痒さがなおさら嫌になる。

どうやら両脚に散らばる無数の赤い斑点すべてが蚊に刺された跡ではなく、アレルギー反応を起こして蕁麻疹を引き起こしてる可能性が高い。痒くて我慢できずに掻くと、その一帯が腫れ上がってしまう。歩いている間は痒みを忘れられるのだが、止まるとすぐにムズムズしてきて、手がすっと脚の方にのびるのが習慣化されてきてしまった。この悪い習慣からは一刻も早く抜け出したいところだ。
なぜ自分がこんなにも蚊に好かれる体質なのか。それとも刺した蚊たちが仲間に何らかの「美味い血がここで飲めるぞー!」的な信号を残していくのか分からないが、来世があるなら、ぜひ蚊に嫌わらる体質を持って生まれてきたいものだ。


さて、今朝は二度寝してしまい8時過ぎに起きた。昨日多く歩いた分、今日の歩行距離は短めに設定して、朝は少しのんびりと旅館の部屋で過ごして10時半から歩行を開始した。ミストのような霧っぽい雨がパラパラ降る中、涼しい気持ちのいいスタートをきった。

朝ごはんをしっかりと食べていなかったので、すぐにお腹が減り出して早めに昼食を取ろうと入ったお店で、隣のテーブルの人たちが昼間からバンバンお酒を飲んで、ものすごい大声で話していた。中国では当たり前だが、煙草の吸い殻や吸い途中の灰は床に灰皿同然のように捨て、酒のつまみのピーナッツの皮も投げ捨て、とにかく食べてる間にいらなくなったものをお店の床に投げ捨ててしまう。
日本人として驚愕する中国のマナーの悪さにも慣れたが、この点において自分は絶対に真似をしたくない。僕は日本人のマナーの良さを誇りに思う。異国のいい文化はどんどん取り入れていきたいが、悪い習慣を真似したり順応する気はない。

今日は歩行距離が短いにも関わらず、まだかまだかと考えれば考えるほど時間はゆっくりと流れた。街と街の間の距離が縮まってきて道にはひと気も多くなり、巨大都市,成都に一歩一歩近づいてきていることを感じさせる。

今日の目的地入り寸前に、朝見かけた四人組の自転車乗りと再び出くわし、立ち止まって話をした。そのうちの一人が、自分が北京から三カ月以上かけて歩いてきたことを知ると、しきりに握手を求められた。徒歩の旅人は滑稽に見られるときもあれば、尊敬の眼差しで見られることもある。でも他人にどう思われるかより、自分自身がどう感じるかの方がよっぽど大事である。中国で出会った旅人は、どこか自分の武勇伝を自慢したがる傾向があるように感じられる。

男女四人のうちの二人の男子と德阳市内まで歩いて、二人の真ん中に挟まれ右左から飛び交う弾丸トークを交互に聞き分けながら、二人のアジトなるチャリンコ店(溜まり場)に案内され座りこんで、成都から進む先の道のことでアドバイスをもらったりした。

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すっかり途中で忘れてしまったのだが、今日918は満州事変の記念日で、中国では「国恥記念日」としてテレビで反日感情を煽ったり、德阳の街ではパトカーから満州事変のことをスピーカーで流していた。日本人であることは出来るだけ黙っておいた方がいい日なのだが、先に友達になった人が、堂々とみんなに日本からきたことを公表してくれた。店で出会った人の中に、すごく反日感情が強い人がいたのだが、僕が中国生まれで中国語が話せることが分かると、親身になってこれから進む先の道案内をしてくれた。

中国の人は一旦友達になると、ものすごく良くしてくれて面倒をみてくれる。最終的に安宿まで見つけてくれて、德阳に来たことを手厚く歓迎してくれた。

この世界で無敵な人とは、誰よりも強い人のことを指すのではなく、すべての人と友達になれる人のことである。

愛と友情が、世界を救う。

Total: 1971.7km



しうんより